ゆかりの大好きな冬も終わりです。今シーズンは前半は勢いよく寒く、雪も新潟や山形方面で多かったようです。でも、2月に入ってからは、一転して暖かい日が続くようになりました。
今回は、完全凍結の湖、雪深い渓流、美しい湖畔で思いっきり最後の冬を満喫してきました。雪はふかふか、渓流のせせらぎは清らか、湖畔は名峰が望める雄大な景色でした。
ゆかりは東北のこの地を、今シーズン5回訪れました。ほぼ2週間に一回のペースで通ったことになります。我ながら飽きもせず、よく通ったものだと思います。でも、それくらいゆかりを魅了した土地だったのです。
今シーズン最後のこの日、撮影を終えて、クルマでいつもの湖畔の駐車場にさしかかったとき、クルマが変な揺れ方してると感じました。低気圧に伴う前線が通過したことによる強風のせいかしらと思いました。目的の駐車場に着いてクルマを止めようとしたとき、これは異常だ、と思いました。まわりの森の木々も一斉に揺れとともになびいているのです。地面を見ると、アスファルトの継ぎ目がきしんでいます。クルマが揺れること揺れこと。本当にひっくり返るかと思いました。こんな揺れ方は生まれて初めてでした。正直、怖かったです。幸いなことにわたしが滞在していたこの地域は内陸だったので大きな被災はないようでしたが、この瞬間、まさか、この同じ東北の沿岸地域があのような悲惨なことになっているとは想像もできませんでした。いまだに悪い夢であったらと思うのです。
そもそも今回撮影した湖も、120年前の火山の大噴火で谷がせき止められてできたそうです。湖底には村が沈んでいるそうです。美しい東北の地は、そういう厳しい自然の営みと背中あわせなわけで、人々もそれに負けずに生きているんですね。それだけに大自然やそこで暮らす人々の暮らしぶりに力強さみたいなものを感じとれるのかもしれません。この大地や湖、川のせせらぎに肌身で直接触れることで、そういう自然の息吹きが魂に伝わってくるような気がするのです。
毎年、春の雪はなんとなくもの悲しくなるのですが、今年は哀しい思い出の雪になってしまいました。でも、今はゆかりを魅了して感動を与えてくれた東北の地と人々の生活が一日も早く復興することを願ってやみません。